鉄道好きを自認する筆者。しかし大宮の鉄道博物館は未踏だった。もともと混雑が嫌いなので開業当初は敬遠。それ以降も、廃線が決まったり、廃線になりそうなローカル線に乗ったりする旅を優先したからだ。そろそろ行ってみようか。行くなら使いたいきっぷがあった。「新幹線&鉄道博物館きっぷ」だ。
【拡大画像や鉄道博物館の紹介写真】
東京駅から大宮駅まで、新幹線で行くには短距離すぎる。ほとんどの人は京浜東北線や埼京線など在来線で行くだろう。でも、鉄道博物館に行きたい人に、割引で新幹線に乗せてくれる。なんとも粋な計らいではないか。ちなみに筆者の仕事場の最寄り駅?大森からだと、大宮までの乗車券は690円、埼玉新交通ニューシャトルの大宮から鉄道博物館駅は180円。鉄道博物館の入場料は1000円。往復の総額は2740円。「新幹線&鉄道博物館きっぷ」はおとな3500円だから、プラス760円で新幹線を往復乗車できる。東京から大宮までの新幹線自由席特急料金は1040円だから、往復利用で1320円のトクである。
●2階建て新幹線がオススメ
「新幹線&鉄道博物館きっぷ」は指定券販売機で購入できた。京浜東北線で東京へ。この電車は快速大宮行きだから、そのまま乗っていても大宮駅に行ける。でも今日は新幹線だ。東京駅から大宮駅までは京浜東北線で約40分。新幹線なら約25分。たった2駅だけど旅立ちの高揚感がある。ホントはもっと遠くに行きたいな……なんて思ったりして。
さて、このきっぷで乗車できる新幹線列車は「やまびこ」「なすの」「つばさ」「とき」「たにがわ」「あさま」だ。「はやて」「こまち」は自由席がないため利用できない。利用できる列車の運行間隔が20分以上空くときもあるので、特別速く行ける、というよりは“新幹線の体験乗車を楽しむきっぷ”と言える。とはいえ利用できる列車は多く、とくにオススメしたい列車は2階建て新幹線MAXの2階席だ。線路際の防音壁に邪魔されることなく車窓を楽しめる。MAX自由席の2階は6列シートで、リクライニング機構もなし。居心地はイマイチだが、25分ならまったく問題なし。むしろ寝にくいので都合がいいくらい(笑)。
車窓は行きも帰りも進行方向左側の窓際がいい。行きは西側の景色。上野から先、上中里付近はかなり高いところを走るので見晴らしがいい。天気が良ければ荒川を超えるあたりで富士山も見える。帰りは東側の景色。こちらは2階席から見下ろすと、新幹線の車両基地「東京新幹線車両センター」や在来線電車の基地「尾久車両センター」が見える。列車名にMAXが付いた列車を選ぼう。
●埼玉新交通ニューシャトルも楽しいぞ
大宮からは埼玉新交通ニューシャトルに乗って鉄道博物館駅へ。たった一駅だけど、ここもしゃぶりつくすように楽しみたい。改札を通ったら正面がホームだ。先頭車両に乗りたい気持ちを抑えて、まずは最後尾方向のホームの端へ行こう。建物のすき間から東北本線などの電車が見えるのだ。また、真下はJR貨物の操車場になっていて、運が良ければ入れ替え用のディーゼル機関車の活躍も見物できる。ここで活躍するディーゼル機関車は「DE10形」といって、全国で入れ換えに活躍するほか、流氷ノロッコ号などイベント列車も牽引している。JR貨物は最近、ハイブリッド機関車「HD300形」を発表した。DE10形はかなり古い機関車だ。引退はまだまだ先のことだが、その活躍を今から目に焼き付けておきたい。
埼玉新交通ニューシャトルはマッチ箱のように小さな電車。コンクリート製の軌道をゴムタイヤで走る。6両編成ながら全長は45メートル、一般の通勤電車の2両分しかない。大宮駅を出発すると、ぐるりと建物の横を周回して、新幹線の高架に沿う。うまいところに路線を造ったな、と思うかもしれない。ごもっとも。実はこの軌道は東北新幹線と一緒に作られた。東北新幹線?上越新幹線を建設するときに、地元の人々に見返りとして計画された路線なのだ。だから終点の内宿駅まで、ずっと新幹線の隣を走る。
車窓のオススメは進行方向左側。右側は新幹線の防音壁になるからだ。鉄道博物館駅は隣の駅なのですぐに到着するが、車窓は鉄道好きには見逃せない。ここはJR東日本の大宮総合車両センターの真上だ。建物ばかりで電車は見えないが、新品の電車用クーラーが積まれているなど、興味深い光景が広がる。
●自然を残す住宅街の風景
鉄道博物館についてはさまざまなメディアで紹介されているので、ここでは控えておく。行ってみないと分からないことをメモしておくと、鉄道模型ジオラマコーナーは解説付きのショータイム以外も列車が走っていて、閉館間際に行くとレール表面を磨く特殊な車両の活躍を見られる。3階のビューデッキと屋上のパノラマデッキは新幹線の線路に面していて、電車の通過予定時刻表が掲出されている。パノラマデッキには透明素材の柵があって、カメラを構えると電車の姿がゆがんでしまう……と思ったら、一部に鉄製の柵があって、そこから電車の写真が撮れた。柵の間隔が狭いから、一眼レフよりはコンパクトカメラの小さなレンズのほうが撮りやすそうだ。
このまままっすぐ帰ってもいいけれど、ニューシャトルで終点まで行ってみよう。鉄道博物館から内宿までは約24分。高いところを走るので見晴らしがよい。晴天で空気が澄んでいれば、富士山や秩父連山も望めるそうだ。手前は住宅街となっている。もっとも、都心の窮屈な町並みではなく、大きめな家、そして自然が残された場所も多い。訪れた日は冬の終わりだったのでやや殺風景だけれど、春は桜、秋は紅葉も楽しめそうだ。
もっとも鉄道ファンにとっては、真横を走る新幹線車両が楽しい。ニューシャトルの軌道は新幹線の高架の横で、駅に近づくと高度を下げる。ただし、いくつかの駅はほぼ新幹線と同じ高さにあって、ホームにたたずむだけで新幹線の通過を存分に眺められる。ちなみに、そんな駅の1つに「原市」があって、ここは「相方の言葉をなんでも拾って話をつないじゃう」という漫才のお笑いコンビ「ハライチ」の出身地だそうだ。
●ニューシャトル終点の内宿へ
丸山駅は新幹線の高架の真下。ここはちょうど東北新幹線と上越新幹線の分岐点。ふたつの線路に挟まれたところにニューシャトルの車両基地がある。この車両基地は帰りの電車から眺められる。丸山駅からは上下線の軌道が合流して単線になって北へ。途中の駅ですれ違いながらのんびりと進んだ。
終点の内宿付近は旅人にとっては何もないところ。地元の住民のために作られた路線だけあって、喫茶店なども見当たらない。「伊奈民芸館」と書かれた建物があったので寄ってみると、ここはどうやら家具屋さん。窓ガラスからのぞくと、興味深いものが並んでいたが、残念ながらお休みだった。天気が良ければ500mほど先の伊奈町制施行記念公園まで歩いても楽しそう。ほかにも古代蓮や桜の名所もあるそうだが、鉄道博物館を楽しむと、立ち寄る時間の配分に悩みそうだ。【杉山淳一】
<今回の電車賃>
新幹線&鉄道博物館きっぷ 3500円(2011年3月31日まで)
※通常料金の場合、東京?大宮間:540円×2、新幹線自由席特急券:1040円×2、埼玉新交通ニューシャトル:180円×2、鉄道博物館入場料:1000円で、合計4520円。
埼玉新交通ニューシャトル 鉄道博物館(大成)-内宿 片道340円
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11 年前